2020年4月 日本文化コラム

【食物】麻疹も治す?:『タケノコ(筍)』

【食物】麻疹も治す?:『タケノコ(筍)』(タケノコ(筍)の画像)

やわらかな食感が炊き込みご飯や煮物などにうれしい春のタケノコ。今では水煮が年中入手できますが、本来の旬は3月〜6月で、今はまさにタケノコシーズン真っ只中です。

タケノコの記述は『古事記』にも見られ、古くから日本人の食卓を彩っていたことがわかります。タケノコの種類は70種にも及びますが、現在多く食されているのは中国原産のモウソウチク(孟宗竹)で、肉質が厚くやわらかく、甘味があるのが特徴です。この種は1736年、薩摩藩主島津吉貴によって琉球経由で導入されたのが最初で、全国に広まりました。

タケノコは、食物繊維が豊富で大腸がんの発生やコレステロールの吸収を抑え、カリウムの働きで高血圧を防ぐ効果があります。利尿作用があるので、 老廃物の排出を促し血液をきれいにしてくれます。また、若さを保つといわれるビタミンEや、亜鉛や銅などのミネラルも含んでいます。カロリーも低いので、ダイエット食品としても優秀ですね。

民間療法では、麻疹(はしか)が内攻して熱やせきが続くときに、タケノコの煮汁を1〜2回飲ませると、麻疹が出て順調に良くなるとされています。

「孟宗竹」という名前は、昔、中国の呉の国の大臣であった孟宗が、病気の母に頼まれたタケノコを雪の中を歩き回って探し出し、母に食べさせて病を治したという故事に基づいています。もしかすると、孟宗のお母さんは麻疹だったのかもしれませんね。


※この記事は、2011年4月25日に配信された、NPO法人日本伝統文化振興機構メールマガジン『風物使』の一部を編集・転載したものです。

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