2020年12月 日本文化コラム

【植物】美容と健康に:『ユズ(柚子)』

【植物】美容と健康に:『ユズ(柚子)』(柚子の画像)

12月下旬の冬至には、お風呂にユズを浮かべた「柚子湯」に浸かる方もいらっしゃることでしょう。夏から10月頃まで出回っていた「青ユズ」に代わって今の時期には完熟した「黄ユズ」の出番になります。

ユズは中国の揚子江上流が原産であるといわれており、日本では飛鳥・奈良時代にはすでに栽培されていたという記録が残っています。平安時代には中国語の「柚(ユウ)」に倣って「柚(ユ)」と呼ばれており、これは本来ユズの木を指します。「柚の実」という意味の「柚子」も中国語の「柚子(ユウヅィ)」から取られたもので、江戸時代以降はこう呼ばれるようになったようです。

冬至にユズ湯に入る習慣は、江戸時代に菖蒲湯と並ぶ銭湯の薬湯サービスの一つとして始まったのだそうです。「冬至」を「湯治(とうじ)」に、「柚子」に「融通」をかけて「元気で融通よく行きましょう」という意味を込めたそうですから、いかにも江戸っ子らしいですね。

現在では、欧米のスパでユズのコスメが人気という話を聞くこともありますが、ユズの芳香は精神をリラックスさせる効果があり、ユズの皮に含まれる成分は血行促進、疲労回復、保湿などの働きがあるとのことですから、バスタイムにユズというのは理に叶ったことなのですね。

また、ユズに豊富に含まれる栄養素には、免疫力を高め肌を美しく保つビタミンCや、その吸収を助けるビタミンP、整腸作用のあるペクチン、疲労回復に役立つクエン酸などがあります。まさにユズは、外からも内からも冬の身体を守ってくれる優れた果実なのです。

ユズ茶、お漬物や焼き物の風味付け、ユズ胡椒、そしてユズ湯。冬の味覚を楽しませると同時に身体を温め美しく保つお手伝いをしてくれるユズ。毎日の生活に採り入れない手はありませんね。


※この記事は、2010年12月27日に配信された、NPO法人日本伝統文化振興機構メールマガジン『風物使』の一部を編集・転載したものです。

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