2020年1月 日本文化コラム

【植物】春に先駆けて香る花:『ロウバイ(蝋梅)』

【植物】春に先駆けて香る花:『ロウバイ(蝋梅)』(ロウバイ(蝋梅)の画像)

「しらしらと 障子をとほす 冬の日や 室(へや)に人なく 臘梅の花」(窪田空穂『青朽葉』)

(訳:ある冬の日、障子を通してやわらかな陽が差し込む部屋に、蝋梅の花だけが静かに香っています)


1〜2月頃、馥郁(ふくいく)とした香りを漂わせて咲く、明るい黄色のロウバイの花。「梅」という字が入っていますが、ウメのなかまではなく、ロウ バイ科の落葉低木です。

原産地である中国では、古くからウメ・スイセン・ツバキ(中国では山茶花)と並び、「雪中四友」として愛されてきましたが、日本には朝鮮経由で 江戸時代に入ってきたとされています。

ウメよりも少し早い真冬に咲き始め、その名の通り蝋細工のような光沢と質感を持ちます。ウメのように芳香を放ちながら枝に直接咲くこと、また、 「臘月(臘=つなぎ合わせる、旧年と新年をつなげる月の意)」とも呼ばれる旧暦の12月に咲くことから、「蝋梅(もしくは臘梅)」と名づけられたよ うです。

英語では、”Winter Sweet”と呼ばれ、学名はギリシャ語の”cheimon”(=冬)と”anthos”(=花)に由来する”Chimonanthus”といいます。 「甘く香る早春の花」ということなのでしょう。

江戸時代には珍しかったロウバイも、今では日本全国で見られるようになりました。各地にロウバイの名所となっている公園や植物園、またはロウバイ 園がありますから、お散歩やドライブのついでに早春の香りを楽しんでみてください。


※この記事は、2010年12月27日に配信された、NPO法人日本伝統文化振興機構メールマガジン『風物使』の一部を編集・転載したものです。

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